屋久島登山の服装について

 

「南の島の屋久島は暖かい?」 いいえ、屋久島の頂上は北海道並みです

九州本土から南に60km離れた屋久島は,暖流の黒潮の影響を受けて基本的には温暖な島ですが、それはあくまで標高の低い海沿いでの話。

縄文杉や白谷雲水峡などは標高の高い場所にありますので,気温は予想以上に下がります。

例えば、屋久島最高峰の1936mの宮之浦岳は、推定年間平均気温が約8℃で、これは北海道の札幌や函館に近い気温となります。

屋久島の山に登れば「暖かい南の島」というイメージは覆されるでしょう。

標高で大きく変化する屋久島の気温

屋久島は標高が高くなるに連れて、また海から離れ、内陸に進むに連れて気温の変化が大きくなります。

下の表は各月の各標高の平均気温を表しています。

(文献:江口卓(2006)世界遺産屋久島ー亜熱帯の自然と生態系ー より)

縄文杉や白谷雲水峡は標高600m〜1300の屋久島の中腹域。黒線のヤクスギランドの気温を参考にすると良いでしょう。

実際は朝晩などはさらに冷えやすくなりますし、日によっても10℃近く変動することもありますので、変化の幅は大きく見積もっていたほうが良いでしょう。

また、日帰りで登るのか、山小屋に泊まるのかで選ぶ服装は変わります。山小屋に泊まるのであれば、さらに防寒をしっかり考えた方が良いでしょう。

ポイント1 気温の変化に対応するには服装は重ね着スタイルで

登山は体温変化の激しいスポーツです。

急斜面を登っている最中は真冬でも汗をかくほど体温が上がりますが、休憩中に立ち止まれば一気に体温が下がりして、暑かったり寒かったりを繰り返します。

特に屋久島は里と山で温度差が大きい島ですので、服装は温度調節がしやすいように重ね着スタイルが基本です。

重ね着スタイルは大きく3つに分けて、

  1. ベースレイヤー(肌着) ・・・肌に直接当たる部分
  2. ミドルレイヤー(シャツ・フリース) ・・・汗の吸湿・発散、保温を調整する
  3. アウター(レインウェア・中綿入りジャケット)・・・外気の雨や風をシャットアウトし、体温を保つ

この3つを基本の服装として、組み合わせを増やしたり、素材を考慮したりして、暑さや寒さにも対応します。

1.ベースレイヤー(肌着)

肌に直接触れるベースレーヤーは、体温コントロールにダイレクトに影響するので特に重要な部分です。

行動中にかく汗により濡れることを想定し、速乾性の化学繊維や、濡れても温度低下の少ないウールで作られたものが最適です。

速乾性の化学繊維のものは生地に含んだ水分の蒸発を促し、乾いた状態をキープしやすくする特徴があります。

また、メリノウールは生地に水分が含んでいても保温し続け、体温の低下を防ぎます。春・秋・冬などの寒さが心配される季節には大活躍します。

最近では化学繊維とウールを併せたハイブリッド素材など、両方の長所を組み合わせたものもあり、アウトドアメーカーから新しい商品が多く発売されています。

綿・レーヨンは乾きづらい

「綿」や「レーヨン」でつくられた生地は濡れると乾きが遅く、体温の低下を招きますのでベースレーヤーとしては不向きです。

【メリノウール系ベースレイヤー】

生地の厚さはLW=ライトウェイト、MW=ミドルウェイトなど数種類ありますが、冬期以外の屋久島で使うならば一番薄手のLW(ライトウェイト)が無難なところ。

メリノウールは「綿」と違い、汗をかいてシャツが濡れても、汗冷えせず体力の消耗を抑えられます。半袖タイプなら夏でもOKです。

天然素材が持つ防臭効果の為、1泊2日程度ならば臭わずにこれ一枚で事足ります(念のためにシャツの着替えは一枚持って行きますが・・・)。

メリノウールの「汗冷えしない」・「防臭性」というメリットと、化学繊維の「速乾性」・「生地の耐久性」というメリットを程よくミックスさせたハイブリッド系のベースレイヤーが使い勝手も良く、愛用しています。

特にモンベルの製品はお値段も手頃で日本人の体型に良くフィットしますので、安心して使うことができ大変お勧めです。
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常のインナーとしても暖かく、手入れも簡単です。普段使いにもおすすめです。

【化学繊維系ベースレーヤー】

ポリエステルを代表とする素材で作られる化学繊維系の速乾性ベースレーヤー。アウトドアメーカーやスポーツメーカーから多種多様なものが販売されています。

先程のメリノウール素材のものよりもお値段も手頃で、耐久性もあり、とても使い勝手が良いです。

以前は一日着ているとニオイが気になるものも少なくなかったのですが、最近は素材の改良によりその部分も解消されつつあります

軽量で生地の厚さも選べるので、登山初心者の方にもオススメです。
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2.ミドルウエアー(シャツ・フリース)

アンダーウェアの上に着るミドルウェアの役割は体温の保持や汗の拡散などの役割があり、一般的にはフリースやシャツなどで季節に合わせて素材を選びます。

厚手のフリースを一枚羽織るよりも、薄手のフリースを2枚重ねたほうが、体温調整をしやすくなりますので、一枚に拘る必要はありません。

やはり素材は綿製品などは不向きで、化学繊維のモノが濡れや蒸れに強いのでおすすめです。

また、体温調整の観点からボタンやジッパーで換気ができるものもおすすめです。

ダウンは濡らせない

ダウンを使ったインナーダウンジャケットなどは非常に軽く温かいのですが、雨が降った際や汗による湿気に弱く、あくまで休憩や停滞時に使用するものだと考えた方が良さそうです。

【シャツタイプのミドルウェア】

春秋はベースレイヤーの上に、夏場なら休憩時にさっと羽織れてとても重宝するのがボタンやジッパーのシャツです。

最近は軽量なものが多く、薄手ながらもしっかりとした保温性があるものが多いです。襟付きのものならば、日よけの効果もありますので大変おすすめです。

【フリース系ミドルウェア】

山では対応する気温の幅も大きいので、一つ持っていると大変重宝します。また、レインウェアなどの防風効果のあるジャケットと併せれば、高い保温力も期待できます。

以前は大きくかさばりやすいのが難点でしたが、最近は小さくコンパクトになるものもあるので、一枚ザックに忍ばせておいても良いかもしれません。

使用用途が広く、体から発生する水蒸気の抜けもよいフリース製品。デザインや色が豊富ですので、ご自分のコーディネイトに併せて選べるのも嬉しいですね。

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【中綿系ミドルウェア】

フリースよりもさらなる保温性・防風性を求めるならば、『化学繊維の中綿』が入った製品が最近は進化してきました。保温性は高いのに汗の抜けが良い(通気性が高い)という、相反する機能を持ち合わせた商品が出てきています。
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3.アウター(主にレインウェア)

ゴアッテクス製品などの防水透湿性素材を用いたジャケットが基本となります。

登山用のレインウェアは多用途に使える優れたアウターで、

  • 雨対策
  • 防風
  • 保温
  • 日照から肌を守る

などの雨から身を守る以外の効果もあるので、寒いときや日差しの強いときも有効で、晴れの日でも必ず携行することが基本です。

各メーカーより様々な素材を使ったタイプが出ていますが、機能性の良さはほぼ値段と比例します。少しお高く感じてしまいますが、普段使いも出来るデザイン性の高いものなら、多少お値段が張るものでも多用途に使えてオススメです。

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オーセンの無料レンタルでも使用しているアークテリクス製のアウター・ジャケット。着心地の良さは超おすすめです!

ボトムス(パンツ)

山の昇り降りで足を大きく上げたり屈伸した時に、つっぱらず動き易いものがよいです。

ロングパンツ派とハーフパンツ+タイツ派とありますが、保温性や虫さされなどを考えるならロングパンツ、涼しさや軽さを考えるならハーフパンツ+タイツが良いでしょう。

タイツも筋肉サポート機能のある、サポートタイツを選べば、登山初心者の強い味方になります。

やっぱりコットンは避けましょう

デニムやチノパンなどコットン性のアイテムは雨で濡れると動きづらく冷えやすいのでNGです。必ずアウトドア用のものをご用意ください。

【トレッキングパンツ】

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【サポートタイツ】

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靴下

登山の快適さを大きく左右する靴下。足は大変汗をかく部位ですので吸湿性、速乾性に優れたウールや化学繊維のものがよいです。

また、ソールの硬い登山靴を履くならば、足裏のクッション性がしっかりとした靴下を選ぶ事を強くおすすめします。

足裏が痛み始めると快適な登山どころでは無くなり、一歩を踏み出すのさえ苦痛になります。靴ずれや保温の面からも中手〜厚手の靴下がおすすめです。最近は防臭性の高いものも沢山出ています。

【ウールソックス】

登山中の硬い岩や木道などの衝撃を受け止めてくれ、疲労の軽減に絶大な威力を発揮します。まるで絨毯の上を歩いているかのように足裏のあたりを柔らかくしてくれます。

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参考に!季節ごとの服装モデル

MEMO

※主に縄文杉、白谷雲水峡あたりの日帰り登山の際の服装のモデルです。宮之浦岳や黒味岳はさらに気温が低くなります。

春と秋の服装 4月、9月後半~10月

  • トップス:速乾性やウールの薄手の半袖シャツ+長袖シャツ
  • ボトム:速乾性の長ズボンやハーフパンツ+タイツ
  • アウター:アウターは厚手のフリース等
  • その他:暖かい手袋や帽子、休憩時にダウンジャケット

気温が5度前後まで冷えることもある季節です。また、日によって大きく気温が変化します。寒くても暑くても重ね着で対応できるように、衣類は幅広くお持ちください。

また、寒さに弱い方は保温のために更に薄手のダウンジャケットなどをプラスします。

夏の服装<6月〜9月前半頃>

  • トップス:速乾性やウールの半袖シャツ
  • ボトム:薄手の長ズボンorハーフパンツ+タイツ
  • アウター:ウインドブレーカーや長袖シャツなどの羽織もの
  • その他:雨が降ればそれなりに寒くなります。レインウェアも忘れずに。

登山中は汗を多くかく季節です。シャツは薄手のものを選び汗をかきすぎない工夫が必要です。反面、気温が下がっても対応できるようにウィンドブレーカーがあるとよいでしょう。

冬の服装<11月後半〜3月頃>

  • アンダーウェア:化繊やウール等の中厚手の保温性アンダーウェア
  • トップス:長袖シャツや薄手のフリース
  • 中間着:さらにフリース
  • ボトムス:厚手の長ズボン(寒いときは下にタイツなどをプラスしても。)
  • その他:休憩時用に厚手のフリースやダウン、暖かい手袋や帽子をプラス。必要に応じてカイロなども。

非常に冷え込みます。保温性の高い服装を選びましょう。

まとめ

服装選びは登山の時はいつも頭を悩ませるもの。特に屋久島となると南の島の暖かいイメージも手伝って、ついつい薄着になりがちです。

同じ季節でも日によって10度以上の違いもありますので、暑くても寒くても対応できるように想定する気温の幅を広く考えて準備をしておくことをお勧めします。