縄文杉の樹齢は?見るなら早いほうがいい理由
縄文杉の樹齢ってどのくらい?
いつかは行ってみたいと言われる縄文杉。
圧倒的な大きさに加えて、遥か長い年月を生き抜いてきた長寿の樹であることも、人々を引きつける理由の一つです。
本記事では縄文杉の樹齢についてと、縄文杉がいつまでも見られるわけではないという理由について 解説します。
今回はその理由について記事にしたいと思います。
【お知らせ】
★屋久島の縄文杉登山を考えているあなたへ★
秩父で縄文杉事前対策体力作りツアーを開催しています。
縄文杉の樹齢は何年なのか?
結論から言えば、縄文杉の年齢は正確にはわかっていません。
理由は幹の中心が腐っていて、年輪がすべて残っていないから。
なので、様々な方法を使って推定された「推定年齢」が縄文杉を語る上で用いられています。
よく言われる推定年齢は下記の2つ。
- 推定7,200年説
- 推定2,170年説
大きな開きがある2つの推定年齢ですが、それぞれの由来を解説します。
7,200年説
1966年頃、上屋久町からの依頼により、九州大学の真鍋大覚教授に縄文杉の樹齢について調査が依頼されました。
それを受けて、調べられた結果が推定樹齢7,200年というものです。
方法としては、屋久島にある多くの屋久杉の樹齢と幹の直径のデータの関係から、計算式を割り出します。
その計算式に対し、縄文杉飲み木の太さを当てはめることで、推定値が割り出されます。
推定樹齢7,200年が本当だとすれば、世界一の長寿の樹になります。
しかしながら、数値が圧倒的すぎるのも事実。国内外の学者から異論が飛び出し、別の方法で樹齢を推定することになりました。
それが次に紹介する、炭素同位体法です。
2,170年説
1984年頃、縄文杉内部の木材に含まれる炭素の分析によって縄文杉の樹齢が推定されました。
縄文杉内部(空洞化している)のいくつかのポイントの木材を試料に、炭素同位体法にて計測したところ、1,000年~2,170年前の木材であるということがわかりました。
すなわち、少なくとも2,170年前には縄文杉が存在したことになります。
しかしながら、縄文杉の真の中心地は腐ってしまって存在していないため、本当の樹齢をうかがい知ることが出来ません。
少なくとも2,170年以上ということがわかっただけです。
枝一本でも1000年クラス
本当の年齢はわからない縄文杉ですが、実は縄文杉の枝の年齢はひとつわかっています。
2,005年に降った雪の重みで、縄文杉の枝が折れてしまいました。
その、枝は《いのちの枝》と名付けられ、屋久島の屋久杉自然館という資料館に展示してあります。
枝にもその枝の年輪が作られます。そのいのちの枝の年輪を数えてみたら、およそ1,000年の樹齢を持つ枝だったのです。
縄文杉の枝の中では主になる枝の一つでしたが、かといって最大の枝というわけでもありません。
そんな枝でさえ、樹齢が1,000年もあるのですから、縄文杉の幹の太さから考えると・・・。
その先は想像するしかないので、明言しませんが、ぜひご自身の目で確かめてみてくださいね。
縄文杉がいつまでも見られるわけではない理由。
ここ最近の気候の特徴なのか、豪雨や強風などの威力が以前と比べて大きくなってきているような気がします。
最大瞬間風速が60mを超えるようなの台風や、数十年に一度と言われるほどの豪雨などが、日本各地で観測されるようになりました。
メディアを通じて伝えられるこのような驚異的な災害にも、少し慣れっこになってきているような気がします。
そして、屋久島でも今までの経験が通用しないような荒天に見舞われることも多くなってきました。
そんな悪天候の度に思うのが、「屋久島の縄文杉はこの天気の中、無事に立っていられるのだろうか?」ということ。
いつかは倒れる日が来るけど・・・
縄文杉は今まで数千年という長い間、一度も倒れることもなく生き続けてきました。
これって当たり前の事のように思っていましたが、実はすごいことです。
そんな圧倒的な存在を目の当たりにすると僕らは、何か縄文杉だけ持ち合わせている特別な「力」や「秘密」があるような気がしてきます。
けれど、それってただの先入観なのかもしれません。
ただ、偶然にも縄文杉は今まで長く生きられただけであって、特別な力など存在していないのだとしたら・・・。
長く生きているほど体は大きくなり、老衰により体を支える力も低下してくるはず。
であれば、強風で風圧を強く受けたり、病気や腐れによって倒れる可能性が一番高いのが縄文杉のはずです。
いちばん、長寿の木こそ、いちばん寿命に近いという理論が成り立ちます。
当たり前といえば当たり前の事ですが、僕らは圧倒的な長寿の木を前にしてその事実を、時々忘れてしまいます。
ただ、それが未来永劫続くわけでもなく、生あるものは必ず死にゆく日が来るのは間違いないという事実。
たとえば2009年に倒れた巨樹「翁杉」のことを考えてみる
実は同じようにいつでも見られるだろうと思っていた巨木が、ある日突然倒れたという出来事が2009年にありました。
幹周りの太さで比べたら縄文杉について太いとされていた「翁杉」です。
- 縄文杉の胸高周囲(16.3m)
- 翁杉の胸高周囲(12.6m)
- 大王杉の胸高周囲(11.1m)
推定樹齢は2000年とも言われ(個人的には太さからそれ以上と思ってます)、屋久島を代表する巨木の一つでした。
この翁杉が倒れた時は台風でもなんでもない穏やかな日で、自重と木に着生する植物たちの重みに耐えきれずに倒れたとされています。
倒れてから解ったのが、幹の内部が90%近く空洞化していたということ。どうやら老衰により幹が腐り、自分の重さを支えるだけの力が残っていなかったようです。
この翁杉だけではなく、屋久島にはこの数十年以内に倒れた樹がいくつも残っています。トロッコ道沿いに横たわる「仁王杉(吽行)」やヤクスギランドの「蛇紋杉」などです。
そんな巨樹たちが、何本もこの数十年の間に倒れています。明日も立っているだろうと思っている樹が数年〜数十年に一度、倒れていくのです。
「いつかは見たい縄文杉」だけど、いつまでもあるとは限らない
よく友人から「いつか屋久島に行って、縄文杉を見てみたい」と言われることがあります。
もしかしたら、この記事をお読みいただいている方の中にもいつかは縄文杉へ!とお考えの方もいらっしゃる方もいるかもしれません。
ただ、一年後、1ヶ月後、1日後、どの未来においても縄文杉が生きている保証はどこにもなく、かつての翁杉のように昨日までは立っていたのに、今日倒れてしまったという日が来るかもしれません。
むしろ、長生きをしているからこそ、生命として死に近いのであり、その残り時間は少なくなっているはずなのです。
いたずらに不安を煽るような書き方はしたくないのですが、もしいつか縄文杉を見てたいとお考えの方は、早めに縄文杉を見に行かれることをおすすめします。
屋久島は旅行の日数も必要だし、交通費も高額だし、縄文杉に行くのであれば体力と装備の準備もしなければならないので、そう簡単ではないかもしれません。
どこかで「えいやっ!」と意を決さないと、なかなか実行に移せないのが屋久島旅行。
ただ、縄文杉も限りのある命です。いつまでも長生きしているとは限りません。
生きているうちに見ておくのが絶対いいはずです。
写真や映像でしか見たことがない縄文杉の、実物の迫力を感じたい方はぜひ早めに屋久島にいらっしゃることをお勧めします。
もし、縄文杉トレッキングを考えているけど、初心者で体力が心配という方は以下の記事をどうぞ。
屋久島の縄文杉ツアーは各旅行会社でも取り扱っていて、体力さえしっかりしていれば、登山に不慣れな方でも行ける時代になりました。
もし、心配な方はトレッキングツアーに参加して、しっかりとしたサポートを受けましょう。
⬇縄文杉トレッキングツアーついて詳しく知りたい方は下記の記事が参考になります。
【お知らせ】
★屋久島の縄文杉登山を考えているあなたへ★
秩父で縄文杉事前対策体力作りツアーを開催しています。