屋久島 白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)トレッキング ガイドなしの場合に注意すべき3つのこと
屋久島の人気のスポットである白谷雲水峡は、知名度も高く、観光客も多く訪れるところです。入り口周辺の道は程よく整備され、お子様からご年配の方まで幅広く楽しめるようになっています。
ところが、少し奥に入るとそこはしっかりとした山道が続き、ときには遭難事故も起こる場所でもあります。
もしガイドツアーを利用せずに、個人で白谷雲水峡に行く方でも安全に白谷雲水峡を楽しめるように、3つの注意すべきポイントを考えてみました。ぜひ、ご参考になさって下さい。
- 持ち物と服装の準備をしっかりする。
- 沢の増水に気をつける。(増水時は絶対に無理に渡らない。)
- 道迷いに気をつける。(沢を渡った後コースを外れやすい。)
1、持ち物と服装の準備をする
半日程度のトレッキングでも十分楽しめる白谷雲水峡ですが、一歩踏み入れれば自然豊かな山の中で、どのコースを回る場合でも、しっかりとした装備が必要となります。
白谷雲水峡の標高は600〜1050mの位置にあり、南の島の屋久島でもこの位の高さになると気温は下がり、夏は避暑地のように涼しく、冬は積雪もあります。
また「白谷雲水峡」の名前の通り、雲ができやすく雨が多いのも特徴です。急な大雨で沢が増水したり、体が濡れて体温が下がったりといった危険も考えられます。
服装や装備を選ぶ時は以上のようなことを考慮に入れましょう。
白谷雲水峡 服装(シーズン別)
日帰りの登山でも汗をかいたり、休憩をしたり、様々な体温変化があります。服装の基本は温度調節がしやすいよう、重ね着で対応するのがポイントです。
また、どの季節でも共通ですが、肌に当たる部分のアンダーウェアは汗冷えしにくいものが基本です。コットンやレーヨンが入ったものなどは、濡れると乾きづらく体温が奪われます。速乾性の化学繊維のものか、濡れても暖かいウール素材がおすすめです。
以下に季節別に服装例を記載しました。
春や秋の服装 <4月〜5月頃、9月後半〜11月前半頃>
- トップス:速乾性やウールの薄手の半袖シャツ+長袖シャツ
- ボトム:速乾性の長ズボンやハーフパンツ+タイツ
- アウター:アウターは厚手のフリース等
- その他:暖かい手袋や帽子、休憩時に薄手のダウン
日によって大きく気温が変化する季節です。寒くても暑くても対応できるよう、重ね着を工夫しましょう。
夏の服装<6月〜9月前半頃>
- トップス:速乾性やウールの半袖シャツ
- ボトム:薄手の長ズボンorハーフパンツ+タイツ
- アウター:ウインドブレーカーや長袖シャツなどの羽織もの
- その他:雨が降ればそれなりに寒くなります。レインウェアも忘れずに。
登山中は汗を多くかく季節です。シャツは薄手のものを選び、気温が下がっても対応できるようにウィンドブレーカーがあるとよいでしょう。
冬の服装<11月後半〜3月頃>
- トップス:化繊やウール等の中厚手の保温性アンダーウェア1枚+長袖シャツや薄手のフリース
- 中間着:さらにフリース
- ボトムス:厚手の長ズボン(寒いときは下にタイツなどをプラスしても。)
- その他:休憩時用に厚手のフリースやダウン、暖かい手袋や帽子をプラス。必要に応じてカイロなども。
白谷雲水峡も雪が降る可能性がある季節です。登山中は汗をかく反面、停滞時には体温がすぐに下がりますので、保温力のある衣類が必要です。末端を温める手袋やニット帽なども有効でしょう。
服装はアンダーウェアと重ね着がポイント
白谷雲水峡もしっかりとした山ですので、不遇の事態に備えて服装もしっかりしておくと安心です。
景色の良い白谷の森ですから、写真をじっくり撮る為に立ち止まったり、風の吹きやすい太鼓岩など体温が下がる場面も多いはず。さっと羽織れるものを余計に一枚持っておくと良いでしょう。
白谷雲水峡 持ち物リスト
白谷雲水峡の入り口付近は舗装された道ですが、その奥はしっかりとした登山道です。苔むす森や太鼓岩まで行かれるのであれば以下の装備が必要です。
- リュック(防水製かリュックカバー付きを。)
- レインウェア(ビニール、ナイロン製の廉価なものはNG。必ずゴアテックス素材等などの登山用のものを。)
- 登山靴(防水性のある登山用のものが安心。)
- 水筒・ペットボトル(沢水を汲んで補充できます。500mlを1〜2本程度。)
- 昼食弁当(早朝出発なら、お弁当屋さんやお宿で前日予約が必要。)
- ヘッドライト(懐中電灯でも可。森の中は日が落ちれば全くの闇です。万が一を想定して。)
- おやつ・行動食(十分な量を持ちましょう。)
- 地図・コンパス
- 医薬品・応急処置セット 鎮痛剤やバンドエイトなど(怪我をしても携帯がつながらなければ、自力でなんとかしなければなりません。)
さらに「帽子」や「折りたたみ傘」、「手ぬぐい」、「ストック」など必要に応じて準備しましょう。濡れて困るものは、何重にも防水することをおすすめします。(携帯電話、カメラなど)
2、沢の増水に気をつける。(増水時は絶対に渡らない。)
白谷雲水峡は、弥生杉コース、奉行杉コース、太鼓岩コースのどのコースも、橋のない沢を直接渡るポイントが何箇所もあります。普段は美しい沢なのですが、一度大雨が降ると一気に増水して渡れなくなることが多々あります。
白谷雲水峡は、屋久島でも特に雨の多い地域の一つで、増水のための閉鎖や、コース制限は日常茶飯事です。
- 天気予報で前日から雨量を必ずチェック
※当日はさほど雨が降っていなくても、前日までの雨量が多いと増水しやすくなります - 登山道が沢になり始めたらすぐに引き返す
※一つの目安にすぎませんが、登山道に水が流れたら数十分で川が増水することも!
白谷雲水峡入り口の管理棟でも、増水時は注意をしています。大雨の可能性があるときはあまり無理をせずに引き返す勇気も大切です。
増水して沢を渡れなかった場合の対処法
もし沢が増水して帰れなくなってしまった時の対処法です。一番してはいけないのは、増水した川を無理やり渡ろうとすることです。
雨が小康状態になれば沢の水はすぐに引きますので、安全な場所で待機します。もし近くに白谷小屋があればそこで待機。(携帯はつながりません。)
それでも水が引かない場合は辻峠を超えて、トロッコ道を経由して荒川登山口から下山する方法もあります。(白谷雲水峡から4時間かかります。地図で事前に道を確認しておきましょう。)
いずれにしても、自分の居場所によって取り得る行動が異なってきますので、地図で自分の位置を把握していることが大切です。
3、道迷いに気をつける。(沢を渡った後コースを外れやすい。)
白谷雲水峡では時々、道ではないところを歩いている登山客を見かけます。多くは沢を渡る際に道を見失ってしまうことが多いようです。
沢沿いは森の中とは違い、開けていて見通しが良い場所です。沢を渡る際に対岸に続く登山道を確認せず渡ろうとすると、どこも道に見えてしまいコースから外れ、誤って沢沿いを歩き始めてしまうのです。
沢を渡るときは、必ず対岸を見て、どこがコースの続きの道なのかをしっかり確認してから渡りましょう。
白谷雲水峡内は標識もありますし、コースマップも入り口でもらえますので、「迷うなんて。」と思われる方が多いと思いますが、実際に遭難事故も発生しています。
まとめ
白谷雲水峡は決して簡単に散策できる街中の公園とは違います。
ガイドなしでも散策できますが、しっかりとした装備と準備が必要で、一つ間違えば水難事故や遭難に至る場所であることを知ってください。
軽装で何の準備もなく行けるところは、白谷雲水峡の入り口から15分程度の「さつき吊橋」付近までだと思います。
しっかりとした、準備と知識があれば安全に楽しく白谷雲水峡の森を楽しむことができるでしょう。